大人は大人になれるか

大人は大人になれるか


新宿 13:34

都庁の真裏付近は鬱蒼とした森のように静まり返る。果たしてこの一帯に人が住んでいるのだろうか。この辺りはどうも苦手な場所だけど、何故か再び戻ってきたくなる。懐かしさでもないし、呼ばれているでのもない。

比較的温和で誰とでも比較的うまくやっていくことができる。すごく優秀、という意味ではなく、当たり障りの無い性質を持っているという意味。こんな僕も人間で、どうにもこうにも肌が合わない人がいる。まぁ誰にでもあることだけど、最悪なのは、その彼が僕の上司だった。これは組織のサラリーマンにとって致命的なシチュエーションだ。

5、6年前、当時の部長が見かねて、僕は彼の元から出て行った。まぁ致し方ない判断だったのだろう。そして、運命は繰り返す。運命が繰り返すと、それは宿命といってもいいのかもしれない。そして今、僕は再び彼の下にいる。今の部長から配属時に呼ばれて、まぁ頑張ってくれ、と言われて席を立ったとき「彼は反省しているようだ」と言い残し部長は会議室を出た。どういう意味?と思ったけど、そうか。知っていたのかと。そして今はなんとか関係を保っている。「僕も反省してます」そう部長には伝えた。