そして誰もいなくなった

そして誰もいなくなった


西武多摩川線 沿線 13:43

見知らぬ土地。見知らぬ駅。踏み切りで待っていると電車がちょうどホームに入っていき、ぞろぞろと乗客が吐き出されるのが見える。1本乗り遅れた。踏み切りを渡り、無人の改札を抜けてホームのベンチに腰掛ける。

誰もいないホーム。駅のまわりは鄙びた美容院とクリーニングくらいしかない。しばらくして花束をもったお年よりが同じくベンチに腰掛けた。黄色と白の菊の花。そういえばこの近くに大きな霊園があった。踏み切りの近くに墓石屋があったな。見上げると高架線が縦横無尽に広がる。この高架はどこから来て、どこに向かっているのだろう。そう考えていると、急に寂寥感が襲ってくる。早く電車に乗りたい。