生きるための時間

生きるための時間


カナハモク・ラグーン 17:46

カナハモク・ビーチの灼熱の砂浜の上にときおり冷たい風が一筋、また一筋と通り抜ける。徐々に西の空の色が青から紫と変わる。波と戯れる人々がビーチ沿いのホテルへ戻っていく。ホテルに併設されるグリルから香ばしい匂いが風に乗ってビーチに広がる。松明の火がともり、第二幕が始まろうとしている。ラグーンを通り過ぎるとホテルのエリアから外れる。そこには広大な駐車場があり、小さなと防波堤がある。消えた観光客と入れ替わるようにロコたちの車やバイクが集まる。そして西の空は橙色へ。

買い物袋を片手にサーフボードを小脇に抱えて僕の前を横切る人。シャツの袖を折り曲げ、襟を立ている。3分前までOL。シャツを脱ぎ捨てるとウエットスーツの彼女が生まれる。そしてオレンジ色の波の中へ静かに消えた。

日没までの30分のために生きる。これがこの島の人々の生き方なのだろう。