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本のタイプ | 紀行 |
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著者 | 司馬 遼太郎 |
タイトル |
街道をゆく〈35〉オランダ紀行 (朝日文芸文庫) |
テーマ | |
主な訪問国 | ドイツ/ベルギー/ |
オランダ最高!なんだかガッツポーズをしたくなります。この本を読むまではオランダといえば「風車」と「チューリップ」というのどかな光景を 持つ国というイメージしかありませんでした。オランダはかつて商業という点においてはヨーロッパの中心だった。合理的な「商売」の 骨格を作った。組織的に商業を行う。株式会社の設立など。あのイギリスでさえ、自力で 商品をさばけず、オランダの市場で世界へ売り出していた。かつてスペイン、ポルトガルが栄華を誇っていた頃、頑張って、頑張ってスペインからの魔の手 を振り切った。低地で国土の維持が困難になり、皆で頑張って、知恵を出して、堤防を築き 干拓を行い、土地を手に入れた。 なんという国なんだ。
この本に限らず、司馬遼太郎さんの紀行はお腹一杯になります。歴史、政治、宗教、芸術、 民族論、文学論・・・ありとあらゆるテーマを絡めてきます。それが司馬遼太郎さんの「街 道をゆく」シリーズの醍醐味。
おそらく、様々な土地を巡ったと思われますが、この点についてはあまり詳しく書かれて いません。少し巡って、そして脱線して、その土地の歴史や文化論を展開し・・と横道に それ、さらに横道にそれて・・・というパターンですので旅の軌跡を地図にするのがとて も難しく、紀行地図職人泣かせの本です。よって莫大な情報量がこの本の本質なので、そ のほんの一部を最後に書き並べたいと思います。
現代のオランダは別として、オランダは何故、商業におけるヨーロッパの核となり得たの か?これはオランダヘ流れ込んでくるあらゆる人種に対して差別を行わないオランダの基 本的精神の賜物です。迫害されたユダヤ人を招き入れ、またベルギーから追われた織物職 人も招き入れ、そうすることで有能な人材が集まり、その地位を確立しました。スペイン は「南蛮のみち」にもありますが、逆にユダヤ人を迫放したことで衰退の道を辿ります。 またオランダはカトリックではなく、プロテスタントということもあり(今はわかりません が)合理的な精神が培われたのでしょう。 プロテスタントということで、芸術面についても宗教性が薄いという特徴も見られます。