紀行地図

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「冬の犬」で旅した地図

冬の犬で旅した軌跡

【カナダ】

「冬の犬」の内容

本のタイプ 小説
著者 アリステア・マクラウド
タイトル 冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)
テーマ
主な訪問国 カナダ/

冬の犬のブックレビュー

この本はおそらく小説かと思いますが、著者が愛するケープ・ブレトン島を舞台にした短編集です。 「おそらく小説」と書いたのは、この本にはケープ・ブレトン島の成り立ち、民族的な歴史的推移を背景 に著者が紀行的エッセイ的に綴ったように感じたからです。 この本は無論、紀行の範躊ではありませんが、この島を舞台に人間の「生きる」姿 を様々な形で表現しています。 生身の人間が「生きていく」様、それは生、性、家族愛、憎悪、伝統、孤独、悔恨。 人間の裏の姿というより、真の姿を描いているようです。 「生身の人間」と感じとれるのは、それは、この本からは生臭い臭いを感じるからだろう。 獣の血なまぐさい臭い。海の臭い。腐った魚の臭い。 鼻を突く体臭。糞尿のような。死臭のような。 。 だから、良い香りを感じることはない。時には吐き気を催すような、それはあまりにも真実に 近いからか。 人間とは、かくも哀しい存在なのか。 そう感じずにはいられませんでしたが、頑なに自分、そして 伝統を守り、新しい時代、人間とどう向き合うかを悩み、葛藤する「物語」からは哀しさと 、そして静かな勇気を感じ取ることができた。