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【フランス】 [ヴァンドゥール] +ヴァンドゥール城 [コレーズ県] +エグルトン [ムスティエ]
本のタイプ | 紀行 |
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著者 | W・S・マーウィン |
タイトル |
吟遊詩人たちの南フランス (ナショナルジオグラフィック・ディレクションズ) |
テーマ | |
主な訪問国 | フランス/ |
中世の南フランスを舞台にした「吟遊詩人」の歴史を高度かつ緻密な考証を行っている本 です。「詩」というものに慣れ親しんでいない私にとっては、かなり難解な世界でした。中 世の貴族の栄枯盛衰、恋愛、十字軍、騎士を主題に、「詩」を仕立てあげているのですが、 「詩」といっても、その「詩」を表現する言語や様式、形式があり、かつ「歌う」ようで すので、曲も添えられているようです。 特に12世紀に盛んだった頃の吟遊詩人は「トルバドゥール」と呼ぶそうで、今で言うと 「流し」のシンガーソングライターとも言われています。 余談ですが、義務教育時代以降、「詩」というものに全く触れてませんが、紀行を読み始めて少しだけ 「詩」に触れ始めています。最近ではドイツの紀行を読んでいる時にハインリッヒ・ハイネという詩人が紹介 されていたことと、以前読んだ「オランダ紀行(著)司馬遼太郎」にもハイネの詩が引用されていた。 またこれも以前読んだ「英国で一番美しい風景・湖水地方」でワーズワースが紹介され、彼は「桂冠詩 人」と呼ばれていたそうです。桂冠詩人とは英国政府が公式に認めた名誉職のようです。この本ではいくつかの「詩」が紹介されていますが、いずれも私は何を語っているのか、わかりませ ん。著者曰く、真実は今となっては誰にもわからないとも行っています。誰が、誰のため に書いたものなのか。想像する術もないようです。
先に、中世の吟遊詩人たちの詩の意味を知ることは困難と書きましたが、著者は南フラン スのヴァンドゥール(ヴェンタドルン)へと旅立ちます。吟遊詩人ベルナルト・デ・ヴェ ンタドルンの足跡を追って。
中世時代には栄えたであろう、その土地は今となっては寂れた農村と、かつて貴族が集ったヴァンドゥール城が佇むのみ。 著者はあえて、この何も無い、この場所へ移り住み、朽ち果てたあらゆる情景から当時を想像し、当時のトルバドゥール を思い馳せます。大都会から隔絶されたこの地に身を投げ出すことで、著者の過去 も蘇り、一層複雑な想念が湧き上がってくるようです。
「サンザシの花」が副題として添えられています。サンザシの花は冬の終わりを告げ、春 の到来を意味するものであり、「恋」の季節を表す隠語でもあります。サンザシを「控えめ ではあるが、恐れを知らない花」と表現しており、宮廷時代の愛憎を象徴する花として使 われた言葉なのだろうか・・。