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【コンゴ共和国】 [ブラザヴィル] [キンサシャ] [インプフォンド] [エペナ] +ボア村 +テレ湖 +ピグミー村
本のタイプ | 紀行 |
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著者 | 高野 秀行 |
タイトル |
幻獣ムベンベを追え (集英社文庫) |
テーマ | |
主な訪問国 | コンゴ共和国/ |
丁寧に言えば「真実」に対する、ほとばしる若き情熱。ということでしょうけど、「無謀」 以外、言葉が見つからない・・。この本は1988年頃の探検旅行を題材にしている。「幻の怪獣」をこの目で見たい。それ だけの理由で、当時、入国が困難であったコンゴヘの入国手続き、そして必要となる機材 についてもスポンサーを見つけ、望遠カメラやソナー(超音波で水中の状態を表示できる 装置)、食料などを調達。一度蹴られたソニ一に対して会長にまで嘆願書を書いて最終的に は機材を受けるなど、それはもう、すざましい情熱だ。 「怪獣」を目にする目的というよりも、「生還できるか」という命題の方がより困難なので は?と思う。 若いうちは無茶をして、それを肥やしに、その後の社会人としての人生を歩む・・という 話もあるが、無茶にも程があるなぁ。
探検隊は某大学の探検部。学生さんである。彼らだけでジャングルの奥深く、前人未到と は言わないにしても、現地案内なくしては辿りつくことは不可能だ。食料調達もそうだ。
彼らは政府に対して許可は取ってはいるものの、やはり、郷に入れば郷に従えということ で、政府、国家の理論は現地民族には全く通用しない。
政府担当者、現地曹長といった人たちの間におこる問題(しかも、相当頻繁に)も適切に 裁いていく。現地ポーターを雇うことも一苦労だ。言うことを聞かないし。
現地に着いたら着いたで、40日間も存在するかどうかもわからない相手を前に隊員の士 気も下がってくる。食料も底を突いてくる。険悪になりつつも、お互いに少しずつ理解し合っていく 姿。
その中でも著者は現地の言葉を学び、協力なリーダーシップをとっていく。組織統制、適 材を適所に配置すること、それぞれの個性に合わせた役割の付与。怪獣を目にするより、 大事なことを彼らは学び、その後の人生を歩んでいることでしょう。