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パタゴニアに引き寄せられるように旅立った著者。彼が追った宿命でもある。辿った土地 で出会う人々の数奇な運命。アナーキストや権力者、夢や希望を抱いて移り住んできた人。そして夢破れた人。パタゴニアを舞台にして華々しく散っていった人々の小さな物語。こ うして物語りは時代を交錯しながら、展開されていく。そして物語に登場する人々は史実に名 を残すような人々ではない。これらの歴史に埋もれた小さな物語を「化石」を発掘するよ うに、著者はおそらく膨大な調査を行ったと想像しますが、丹念に数珠を繋ぎ合わせるこ とで、「パタゴニア」を四次元空間に展開し、概観可能にした。以前、読んだ立花隆さん の『記録されていない「歴史」に「真」の歴史がある』という言葉を思い出した。(立花隆氏の「エーゲ―永遠回帰の海」)そして終に著者は「引き寄せられた」引力の源へたどり着き、「それ」を手にした。 因果関係は成り立った。という意味ではスッキリ感はありますが、このことが「パタゴニア」 を読む上での本質かどうか。彼にとってはきっとことのこが本質だったはずだ。作品としては本質的な事象では無いはずだ。